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PURODUCE vol.2

『メアリー・シェーン原作『フランケンシュタイン』より
"Mと呼ばれた少女"』


2000年6月  東京芸術劇場小ホール1にて
作…山岡 弘征/小金丸 大和
演出…山岡 弘征




〜「"M"と呼ばれた少女」 の為のノート〜


メアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン」を題材に、
現実社会(近未来?)と虚構世界、その多重構造の中で、
ホラーやモンスターものとして見られがちな原作に内包された様々な要素を、
21世紀を迎える"今"にどの様に作用するのかを探る試みです。人間に"火"をもたらしたプロメテウスの神話、
神になろうとした堕天使サタンの失楽園、
父(造物主)が子(被造物)に怯えるオイディプスの悲劇、
こういったものをモチーフとした原作は、
ファウスト的衝動に陥りやすい現代にこそ
意味を見出し得るのではないでしょうか。19世紀の初頭、止まる事を知らない科学の発展を背景に、
それのもたらす恩恵と言う光と、未知な領域へ踏み出す畏れと言う陰。
これは有史以来、人類の発展の両輪でもあるわけです。ミルトンの「失楽園」に代表される、人間の原罪と神の恩寵についての主題は、
クローンや遺伝子治療の技術的な可能性を見る今に至っては、
ますます必須の論点となっていくことでしょうが、忘れてはならないのは、
どれもが人類の至福へのたゆまぬ貢献と言う前提のもと、
そして実際多くの恩恵を生活の隅々において享受しているにもかかわらず、
止めどの無い延命措置ですら手に余っていると言う現状です。足りないと催促し、手に余るとさっさと投げ出す。
昨日まで受けていた恩恵を手のひら返したように叩き返し、
あげく糾弾の烽火を上げる暴徒の一員にすらなる。
中世の魔女狩りさながら、不勉強を恥ともしない無知の成せる業、
己の身に起きない限り他人の痛みに愚鈍な想像力の脱落、
「大衆は扱われたようにしか振舞わない」まさに現代の我々を例えるなら、
子供のような振る舞いと言えます。こう言った無責任な御都合主義や享楽的な風潮こそモンスターの温床、
若しくはモンスターの正体なのかもしれません。原作に於けるモンスターの孤独や愛情の渇望は、
根拠となる疎外と言う面において我々の比では有りませんが、
昨今の犯罪を見て取れば控えめに見ても
この主題の普遍性を無視できないでしょう。また、ヴィクター・フランケンシュタイン博士の探求心・知識欲・功名欲は、
「自己の可能性追求の為にあらゆる幸福と苦痛を求め、
メフィスト(悪魔)に魂を賭けた契約をする」と言うファウストになぞらえられ、
人類の発展の上で、その主題の普遍性は確立されてさえいます。しかし別の側面を引き出すなら、
ヴィクターの動機付けの背景には飢えた大衆が見えるようでなりません。
シェリーはフランス革命の中に、
崇高な理念がせっかちに結果だけを望む貪欲で狂暴な大衆によって
踏み荒らされていく様を見て、落胆したのでしょうか。もっと便利に快適に、飽く事を知らない大衆の欲望は醜悪でさえあります。
にもかかわらず原作のモンスターは、
十分に知的で論理的で非常に繊細な情緒すら備え、
向学心が旺盛な成熟した立派な成人と言えるのです。出生の相違と、
余りに醜怪な容姿を除けば…勿論この事は、
決定的過ぎるほどの致命傷として作用しますが、
果たして我々には思い当たる事の多さに驚きを隠せません。人間社会はいつの時代でも異質なものに対し臆病で、
残忍なまでの排他性を発揮するものです。こうしてモンスターは父なるヴィクターに愛情と責任を求めるのですが、
ヴィクターは己の保持意識か罪の意識に耐えかねてかひたすらに
逃避行動をとり続け、やっとの事で解決の為に重い腰を上げることになります。
こう言った開発には脇目も振らない積極さを示すわりに、
後始末には歯切れが悪いどころか、全くの及び腰と言う場面は現代でこそ多く、
計画や契約の頓挫にも色濃く反映されていると言えそうです。原作は、ヴィクターとモンスターの死によって物語の完結を見ます。
これにより、人類の発展における一つの陰の事件として
葬り去る事が出来るのです。大衆に奉り上げられ(妄想の行き着く先として)
そして大衆に裁かれた愚かな医学博士(実際はただ怯えていた)の話しは、
再び、混沌(カオス)から調和(コスモス)を見出すに至るのです。そして、実際に大衆(マス・メディア)が、
科学の(それに群がる金や権力の)暴走の
大いなる歯止めとなっている事も紛れも無い事実であり、
今やその役割の社会における貢献は計り知れません。
なにせ我々のヴィクターは、
一人でも個人でもなく、巨大な組織と経済力なのですから。

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〜企 画 意 図〜


まもなく、人間の遺伝子情報の全てが解明されると言う噂があります。
それほど凄まじい早さで、現在の科学は進化しています。しかし、果たして急激な科学の発達は、
必ずしも人類に幸せをもたらすものであると断言できるでしょうか。もしかしたら、人類は全ての病気を克服し、
永遠の命さえも手に入れるかもしれません。健康な生活、これもまた、全ての人々が望むところでしょう。
しかしそれは、生物としての役割を超越した望みだとも言えます。遺伝子を謎解いてしまった事によって開発され得る化学兵器、
それに伴うバイオ・ハザード、遺伝子特許による貧富の差の拡大、
遺伝子情報に基づいた「差別」。幸せな時代の到来と共にまた、
大変な危機もまた起こり得るのです。人造人間として死体より生み出された「フランケンシュタインの怪物」と、
医療技術と遺伝子工学の発達によって無理やり生かされている「少女」。だからこそ強く「生」に対する思いの強い二体の"M"の姿を通じて、
人が人として生きる事の意味について、
もう一度考え直すきっかけにしてみたいと、この作品を作成致します。


STAFF
舞台監督 河井妙子 
美術コーディネーター 河井妙子 
照明 岡部明/(株)オンアンドオン
音響効果 志和屋邦治
音楽  中原達彦
演奏 Tommy Campbell (Dr)
   BELL:MARK QUARTET
衣裳 東宝舞台(株)/大戸 美貴
メイク  櫻井聖妃 こまどりメイク隊
舞台美術  蔵六
宣伝美術 蔵六 
オブジェ製作 セイ誠司
イラスト 森口裕二
Web制作  藤本よしはる
バイオリン奏者  おおさわしろう
Photo 北 郷  仁
ボイストレーナー 松田 辰彦
コーディネーター  高見沢公子
Special thanks 荒 和彦
企画/製作  office force(小野恒裕)

 
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e-mail:info@officeforce.jp
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